第5章 結び

5.1 まとめ

日本におけるアースデイについて、第I期・第II期の核となる団体に焦点を当てて分析を試みた。各章をまとめると以下の通りである。第2章では、1989年に設立した日本連絡所の活動主旨やその歴史を追った。日本連絡所は自ら主体的な活動を行うことはなく、全国の主体間のネットワーキングに努めたが、これを補足する活動として「環境フォーラム」や「環境自治体」等を発足させ、問題解決に向けたより具体的な活動を行っていた。

第3章では、日本連絡所解散後のアースデイを担う主体として「アースデイ東京」「アースデイJP」を挙げ、それぞれの活動を紹介した。アースデイ東京に関しては、集客数や参加団体数などの点で非常に大規模化し、イベントとしての成功を収めていると言える。また、実行委員らによる「企画持ち寄り式」の運営体制を採用したことにより、新たに様々な立場の人々がイベント運営に主体的に関わることを可能にし、様々なセクターに開かれた環境の祭典としてアースデイを一般化させた。第II期において各地のアースデイを繋ぐ役割を担う存在として「アースデイJP」が挙げられた。「アースデイJP」では第II期に関する情報共有のみならず、第I期の記録集の復刻掲載も進められており、当時の活動を知る数少ないツールの1つとなっている。

第4章では、各期のイベントを代表例として取り上げ、関係主体・運営体制を比較した。第I期におけるアースデイのイベントでは、市民国会に代表されるような、アースデイのイベントそのものによって、環境問題や政策に直接的な働きかけが行われたものが多く、当局に対して対決的な姿勢を示す傾向が見られた。これらのことから第I期については、「政策直訴型」「公開討論型」の傾向があったと言える。第II期においては、様々な人々が参加しやすいイベント作りをより重視したため、特に初期においては「環境-音楽フェス型」に近い傾向があった。近年は、環境問題に対するより直接的なアプローチを多く取り入れた「ライフスタイル提案型」への移行が見受けられる。

2011年以降のアースデイについては、2010年までの活動によって成し遂げた、アースデイの一般化という基盤の上に、更に、環境問題に対する具体的な解決策を投じてきた第I期の流れを組み込んだ、新たなアースデイの展開が期待される。

5.2 これからの展望

アースデイの歴史を追う中で感じたことは、アースデイは一直線上の変化を遂げているのではなく、時代に合わせた方法を取り入れながら、螺旋状に進化しているということであった。各期は断続的にではなく、継続的に存在していると言える。アースデイ自体が様々な要素の複合体としての運動であるために、分類についても上手く整理しきれなかったことは今後の課題である。

しかしながら、2010年という、日本におけるアースデイ開催20周年を迎えた本年に、アースデイが成立するまでの歴史を追い、関係者らがどのような思いでアースデイに取り組んでいたのかを明記できたことは、非常に有意義であったと思われる。また、2010年の時点でアースデイ東京実行委員会事務局に伺い、インタビューを実施できたことも、現在の流れを考えると、非常に貴重な資料になったと言える。

今回は残念ながら、東京を中心としたアースデイの動きのみを追う形になり、実際に日本各地でアースデイがどのように運営されているのかについては、紙幅の制約もあり、触れることが出来なかった。今後機会があるならば、各地の特徴的なアースデイのイベントをいくつかサンプルとして抽出し、考察を試みたい。現在日本においてどのようなタイプのアースデイが存在し、それぞれのタイプがどのような可能性を有しており、どのような課題を抱えているのかを明らかにすることにより、「日本におけるアースデイの成立と展開」について、より鳥瞰的な考察が行えるのではないかと考える。


参考文献

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アースデイ東京 2001 実行委員会.
http://www.earthday-tokyo.org/2001/100.html (最終閲 覧日 2010年12月18日)
アースデイJP.
http://www.earthday.jp/ (最終閲覧日 2010年12月18日)


謝辞

本論文作成にあたって、インタビューや資料提供の面で多大なご協力を頂いた「アースデイ◎1990⇔2000◎日本・東京連絡所」元スタッフの皆様、「アースデイ東京」関係者様、 「アースデイ JP」関係者様、「アースデイ神戸」スタッフの皆様に、この場を借りて深く感謝申し上げます。